大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和25年(う)3587号 判決

原判決が被告人の麻薬不法譲渡の事実について犯罪の証明が十分でないとして無罪の言渡をしたことは所論の通りである。ところで被告人は公判廷において右不法譲渡の事実を明白に自白しているのであるから、その趣旨は自白以外に之を補強する証拠がないという理由に基くものと推察されることも正に所論の指摘する通りである。ところで記録を精査すると被告人の数回にわたる不法譲渡の事実のうち昭和二十五年七月十七日の分については証人徳永孝哉の証言によつて裏付けされ被告人の自白した犯罪が架空のものでないことを証するに余りあるのである。しかのみならず、被告人が当時麻薬を所持していた事実は被告人の自白に係る麻薬不法譲渡の犯罪事実を補強する証拠たり得るものと解すべきが故に被告人が当該麻薬を当時所持していたと云う事実が被告人の自白以外の他の証拠によつて証明される以上補強証拠なきもの換言すれば原判決の云う犯罪の証明が十分でないものとは云い得ないのである。要するに原判決は刑事訴訟法第三百十九条第二項の解釈を誤り、ひいて事実誤認に陥つた違法があつて破棄を免れないのである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!